
下がり続ける神レンズというレッテルの価値
ここ数年、ブログメディアや動画メディアや各種SNSで「神レンズ」という言葉・レッテルが安易に使われすぎじゃないですか?
好きなレンズについて検索すると、サジェストに候補としてすぐ出てくるくらいにはよく見ます。
神レンズの定義が人によって変わるとも思うので、他の方が使うことを否定するつもりはありません。
ただ、当レンズについても神レンズと紹介されているのをたくさん見てきました。絶賛がとても多いのですが、私には神と銘打つほどの特別感があるのかに付いては疑問が残ります。
神レンズって、デメリットがあったとしても突き抜けたメリットがあって初めて該当すると考えているからです。
XF35mm f1.4の写りについて
では当レンズは神レンズ的に開放からシャープな写りかと問われると「距離による」と答えます。
特に最短撮影距離で絞り開放で撮影するとゆるゆるのふわふわです。お花などを撮影してみるとよく分かります。

遠景を絞り開放で撮影するとRAW撮影では周辺減光が気になるかもしれません。これは良いか悪いかは見た人それぞれ判断が別れるところかと思います。現像ソフトではレンズ補正で修正されるので気付かない方も多いかもしれませんね。
一番絶妙な撮影距離は1mから2m前後。この距離での撮影では絞り開放でも写りが良く、背景までの距離があり抜けていると浮き立つような素晴らしい写りを体感できます。人を撮影する時なんかぴったりですね。



とはいえ、もちろん当レンズを使っている時はこの距離でしか撮れないわけではないです。
至近距離の撮影でも被写体に合わせて少し絞っていくと絶妙ポイントが必ずあります。この辺りは好みの要素が別れるところでもありますので、細かく絞りを変えつつ撮影しておくのがベターですね。

また、開放絞りf1.4なので開放をたくさん使うと思いますが、絞っても良いんです。
解像感の高さではf4からf5.6辺りが良くなる値だと思いますが、キリキリにシャープというより柔らかさの残る階調豊かな写りです。

f11よりも絞ると小絞りボケが出始めますが、個人的にはf16までしっかり使える写りです。

いかにもデジタル画像的なキリキリなシャープさを求める人には合わないかもしれませんが、フィルム時代の単焦点の美味しい部分とデジタルセンサーでも満足できる解像感を持ち合わせるアンニュイさが当レンズの最高な部分なんです。

「だが断る」ツンデレAF
オートフォーカス対応レンズなので使いますよねAF。
よく見かけるレビューではAFスピードは「ゆっくり」と紹介されていることが多いですが、私の体感としては「十分早い」です。だって自分でMFするより早く合わせてくれるもの。
ただ、くせものなのがAFの反応です。AFのエリアを設定してボタンを押してピピっと合焦したと思ってシャッターを押します。そしてプレビューで確認してもパッと見は合っているように見えるので、撮影を終えて自宅でPCに取り込むと「ピント絶妙に外れてる!」ということが結構ありました。
そう、ピント合焦フェイントが意外と多いんです。なんというツンデレ。その場で拡大プレビューして確認することを強くオススメします。ピントさえ合っていれば最高なカットだったものを何回がっかりさせられたか…

私的なものとか思い出としての撮影ならピント外れてても良いんですけどね。むしろそれが偶然の面白さとも思えます。

これがどうしても嫌な方は、根本的で古典的なやり方ですがMFを使えばツンデレAFに振り回されることはなくなりますし、ウィンウィン鳴るAF音が気になる方もMFすれば解決します。

それでもXマウントを使うなら一番オススメのレンズ
写りがキリキリにシャープなわけじゃない。AFも速さも正確さもない。それでも当レンズはXマウントを使う方に向けては一番マストなレンズです。
なぜならFUJIFILMのカメラを選んだ方に共通しているのは、色味やフィルムライクな要素に魅力を感じている事が多いと思うからです。そんな方々にはぜひXF35mm f1.4を使ってみてほしいんです。
デジタルセンサーに対応した解像感を持ちつつもオールドレンズのような柔らかさを持つアンニュイな写り。
AF合わせたよって思わせて実は合ってないツンデレAF。偶然性を楽しむなら全然アリです。
使い方も写りもまるでじゃじゃ馬なお姫様みたいじゃないですか。
こういうクセのあるレンズを乗りこなせて最高な一枚を残せた時はとても気持ちいいんです。
Xマウントのカメラをお持ちならぜひXF35mm f1.4も持っていてください。

